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桜桃ユメ
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ツレヅレサイクル

連作作品 『光り』
二 転校生

キンコーンカンコーン
鐘の音が校内を駆け巡る。その余韻が消えるまえに教室内に
「お〜い!お前ら席に着けぇ〜。鐘なったぞぉ〜!!」

と、怒鳴っているのか、ふざけているのか、よく分からない声が響いた。それはこの教室で一番偉いものの声だった。がしかし偉かろうがなんだろうがここにいるものたちにはそんことなど関係ない。そう態度が言っていた。おしゃべりに夢中なのだ。しばらくたってもおしゃべりはとまらなかった。しびれを切らした偉きものは…
「転校生が来たんだ!早く座れ!!」
と今度は、威厳をもった勢いを出して言った。生徒達はというと転校生と聞いてざわめきがいっそう強くなった。
「転校生かどんなやつかな」
「きっとかわいい女の子じゃないのか!」
「う〜ん、どうだか男かもしんないぞ」
「いや女だろ」
と、まぁ期待満点の様子である。
「いいから、早く席に着け!!転校生に入ってもらえないだろうが」
そろそろ先生の機嫌が悪くなってきたので生徒達は、しぶしぶ各自の席に向かい座る。
それを見て先生は目に見えるほど機嫌を直し
「よし、転校生を紹介しよう!!さぁ火向ヒカリさんはいって」

と言って出入り口のほうを向いた。生徒達は出入り口に一斉に目を向ける。みんなが期待をよせているのだ。
そこからまだ幼さが抜けきっていない少女が入ってきた。教室の一同は、一瞬時間が止まったかのように少女に見入っていた。それは、少女がかわいいからというだけではない。何か不思議と見せられている。そう誰もが感じてしまう。そんな変わった雰囲気が少女にはあった。おずおずとした表情で少女は先生のとなりに移動した。そして前を向ききょとんとした目で教室の生徒達を見やる。教室にいる生徒一同がまるで時間がとまっているかのようにぼうっと自分をみているからだ。
「さぁ自己紹介して」
先生の声がまるで合図だったかのように生徒達は動き出した。すると少女は恥ずかしいのか下を向いてしまった。しばらく間があり、覚悟ができたのか少女はいきなり話し始めた。
「え、えっ…と!!私は、火向ヒカリです。よ、よ…ろしくお願いします」
ちょこんと頭を下げる彼女は妙に愛らしかった。それが僕の感じたヒカリに対する最初の印象だった。彼女はすぐにクラスの人気者になりクラスになじんでいった。彼女が転校してきてからの日々はあっという間に過ぎていった。そんな平和な日々が続いていた。
いつまでも続く、日常。
平和な、日常。
そんな坦々と続く、日常。
それが当たり前だと僕は思っていた。あくまで僕はそう思っていた。
でもいつまでも変わらないものではなかった。些細な出来事で壊れてしまうものだった。人は初めて気づくものなのだろう。それがなくなったということがどういうことなのか…ちょうど僕がそうだったように…

単調でつまらない、日常。
先が見えてしまっている、繰り返される、日常。
よく僕は自分でそう言っていた。
でもいざそれが壊れてしまうとそんな日常でもよかったとおもえる。そうつまらなくてもいい、日常が一番いい。そんな日々のなかでもその人の生き方なりやり方なりでいくらでもかわる。楽しみだってみつけることができる。そうした考えが僕にもあれば…自分のすべてを受け止められる自分が入れば、こんなことは起こらなかったのだろう…


テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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